〜脳卒中の日記風〜
しばし声を失う

’９８．９．２６
真夜中の出来事ではなかったのか？
前日ぐらいから、しゃっくりがひどくて、
夜もオチオチ寝ていられない。
一日中しているんだ。
苦しい。
ナース・コールが手放せなくなった。
でも、時間やすべてが分かっていたんだ、
その時までは…

自分自身で覚えているのは、
いつのまにかストレッチャーに乗せられて、
隣の部屋へ担ぎ込まれたこと。
（そこは集中治療室だ）
口の中に金属のようなものが入ってきて、
舌がものすごく痛かったこと。
みんながすごく焦っていたこと。
結局、口に何かをくわえたままだったこと。
しっかり覚えているのだけれど、
しかし何処か断片的だ。
覚えているけど、分からない。

ゴタゴタと、
何かがボクに対して行われているのだけども、
詳しいことは分からない。
ボクは何も分からない。

窓際のベットで眠った。
お湯を沸かすような音が聞こえた気がした。
今にして思えば、
酸素吸入の音だったのだろう。

ずっと後になって聞いたところによると、
寝ながら吐いて、
舌と一緒に喉に詰まったものらしい。
呼吸困難！
そして、挿管！
口に管をくわえさせられる。
そうするしかないんだ！
みんなが焦るのも当たり前だ。
ボクは本当に何も分かってなっかった。
自分が声を失ったことも…