〜脳卒中の日記風〜
ボクノ、ミタヘヤ

’９８．９．２７以降
ともかく、昨日までとは違うベットだった。
それは分かる。
食事はせず、声は出せず、
お風呂なんかもちろん入れない。
テレビもなければ、本もない。
そもそもやる気が起こらない。
いったいボクは何なのだ？

しゃっくりがとまらない。
「いっそのこと横隔膜を、
手術か何かで取っちゃえばいいのに…」
でも、「本当にそうなったら嫌だなぁ…」
右半身はまったく動かない。
名前を呼ばれてるのは分かるけど、
細かいことは分からない。
両親とは、左手のニギニギで弱々しく交信していた。

ゆめかまことか、はたまた、まことかゆめか…

ベットがちょこっと動かされると、
「手術か！！」
と思って恐くなり、心臓がバクバクいう。
頭がすごく混乱している。
知っているはずのことが、分からない。
隣の部屋からきたはずなのに、
そんなことは忘れてしまい、
部屋の出入り口が手術室の入口に見える。
ボクの頭はベットからははみ出て、
窓の前の棚にのっていると思った。
（実際はそんな棚なんてないんだけど…）
部屋が曲がっている、変なの！

自分の右手の位置も分からない。
イメージ上の手の位置と、
実際の位置のかけ離れていることといったら。
手を動かすと、
というより、手を動かしたつもりでいても、
実際の手は動かない。
左手が、あらぬ所に右手を発見したりする。
でも、その右手が、
咳をした拍子にビクンと動くことがある。
あくびでも、そう。
意識的にではなく、反射的に。
体に力が入った瞬間、右手はプーっとあがる。

枕もあてるところによって、
嫌な感じがする。
頭が３つに割れている？
左斜め後ろはダメ。
気持ち悪くなるんだ。

柱の向こう側に足が見え、立て膝をしていた。
ボクのしゃっくりうるさいだろうな…。
えっ、誰かが外出するって。
いったいどーやって？
ボクも出来るの？
それはホントの話なの？