〜脳卒中の日記風〜
歯ガタガタ

髪を洗ってもらう。
ベットの上で寝たまんま、
それも１ヶ月近く洗っていなかったんだから、
さぞかし大変だったと思う。
ポマードをつけたようにガビガビになっていたろう。
後にベットを起こされた時、
「サリーちゃんのパパ」呼ばわりされたことから、
この時の見苦しさは大体想像される。
右を向いて、左を向いて。
とても気持ちが良かった。サッパリした。

でも、右半身が頭までしっかりと、
きれいに半分だけ、感覚が無いんだなぁと思ったのもこの時だ。
お湯を掛けられているのに、その温かさが分からない。
髪を洗う指の感覚が右と左とでは全然違う。
というよりも右に来ると分からない。
境目がきっちりとある。
そんな髪の匂いが分からない鼻もどうかしていたわけだけれども…。

そして、気持ちが良くなって寝てしまうのだが、
目覚めるとコレガ大変。
大抵熱が出ている。半端じゃなく熱い。
（聞くところによると４０度以上あったらしい！なんてことだ！）
特に右腕が異常な位に熱く感じる。
氷を体のアチラコチラに挟んで、
（といっても、もともとほとんど裸だけれど）
冷やしてくれる。
そんなことが何回あったかなぁ。
ただ、思ったようにはならないもので、
右の脇にはほとんど挟んでもらえなっかった。
壁側だったからかな？
しゃべることが出来ないしね…

熱発（熱が出るとこう言われた）で、もう一つ。
急に寒くなった感じがする。
タオルケットだけのボクではあるが、
暖房をしているにも関わらず、
いや、熱があるにも関わらずだ。
膝のところにあるタオルケットを肩まで掛けようと頑張るが、
ロクに力の無い片手の哀しさ。
上手くいかずに失敗して、より足からずり落ちたりして。
そうこうするうちに時間だけが経って行く。
（ホントに経過したのかすら不明だけれど）

すると歯がガタガタしてくる。
体全体が震えている。
スキー場などでとても寒い思いをした時のよう。
オーバーな表現ならばいい。
でも、止めようにも、止まらない。
それくらいにひどい震え。
看護婦さんに電気毛布を入れてもらったんじゃないかな？
暖めているんだか、冷やしているんだか。
「寒いの？」と心配してくれた看護婦さんもいたね。

こうして、ようやく布団に潜り込み、
暖かいなぁと思って眠る。
でも、実は
（やはりというべきか）
次に目覚める時には大汗をかいている。
高熱はあるのだ。
目を覚ましたら頭がベットの左側からはみ出してる、
そんな気さえすることもあったんだ。