〜脳卒中の日記風〜
訪問者たち

‘９８．１２．５．
週末になると友人や会社の人が来てくれるようになった。
いや、正確には、
ボクが会えるような状態になったのが、この週末から。
いろいろな連絡は親にすべて任せていたけれど、
これまで訪れてくれていた人たちには、
面会を断っていたらしい。
ボクもとても会える状態ではなかったので面会していない。
車椅子に乗れるようになってからでも、
長時間座っていると、おしりが痛い。
圧し掛かる重力が苦しい。

ある友人は集中治療室のカーテンの隙間から、
ベットに横たわるボクを見たらしい。
病状としては最も悪かった頃のこと。
後に「コワクて側には行けなかった」と言っていた。
けれど、ボクはボクで声が出て話が出来るようになってから、
「みんなに会ってみたい」と親に頼んでいた。

もらった手紙は全部読んだ。
というか、目の具合で読めない手紙は読んでもらった。
不覚にも泣いてしまったりした。
みんな待っていてくれた。
あえて誤解を承知で言えば、
「最高のラブレター」だった！

最初に友人と会ったのは、
病院の４階の片隅のソファーベンチだった。
ボクは車椅子で、喉にはカニューレ。
久々の再会。
会えただけで良かった。
でも、いっぱいしゃべった。
アレもコレも…

その後、会社の人とも会う。
大学時代の友人たちにも会う。
思えば、入院する数日前には電話で話しをしていたんだっけ。
ちょうど大学時代のＯＢ会の連絡をとっていたのだ。
ボクの入院を電話が掛ってきたその友人にも、
おっかさんが伝えたものらしいが、
病状が病状だっただけに、
仲間内にはすぐには広めず、
回復してきた頃にみんなに伝えてくれたらしい。
花束をカッコ良く持って来てくれた。
そして、何より嬉しかったのは、みんなの寄せ書き。
「最高のクリスマスプレゼント」！！

自分のことを思ってくれる人がたくさんいて、
その人たちもその人たちなりにいろいろ考えたのだろうな…と感じた。

ボクは今までの人生の中で最大の感謝をした！