〜脳卒中の日記風〜
検査一式

‘９８．１１．２２．
それは、心電図と脳波測定、レントゲン、そしてＭＲＩ。
朝に採血があることが多い。
今日か、それとも明日か？
まだ、立って歩いていくわけにもいかないので、
ストレッチャーか車椅子で乗り付ける…看護婦さんが運転手。
そして、ベットに移るのも手伝ってもらう。

この時、特に覚えているのは脳波測定。
顔面神経麻痺があり、左目がしっかり閉じられなかった。
でも、ガーゼが目玉に当って痛い時などは、外してもらっていた。
本当は余計に乾燥してしまうのでイケナイらしいが、痛いのも嫌だ。
この時も外していたっけ。
検査室まで連れて行ってもらい、いざ寝台に横になる。
電極を頭皮につける際チクチクするが、
右半分は見事にニブイ…あまり感じない。
余談だが、「デカイ頭だなぁ」と思ってるんだろうなぁと、
電極を取り付けられながら思っていた。
（いつも床屋で思っていたのだ）

いよいよ部屋が暗くなる。
ドキドキ、ワクワク。
なぜか分からないけれども、とても緊張する。
でも、緊張するとボクは何故かウフフと笑うのだ。
自分で気色悪い。
呼吸が普通じゃないみたい。
呼吸が痙攣してる？
それが証拠に深呼吸が出来ない。
「出来ない」というと語弊があるのだが、
息を吸い込む限界が早々にやってくる。
さらに、左目は閉まらないと宣言して検査を受けたけど、
光が目の前でチカチカし始めると、なんと右目までが開きだしたのだ。
これは自分の意志ではどうにもならない。
「これで検査になるのかな？」と気持ちは焦るが、
どうにもこうにも閉まらない。
この感じ、すごく伝えづらい。
夜はどうやって眠っていただろうか？なんて考える。
ウィンクが出来るようになったのは、
年明けの２月下旬のことだった。

ＭＲＩは磁気を使って、血管の状態を画像にする検査。
身に付けている金属はすべて外すのだけれど、
入院中のボクは（悲しいかな）その心配が全くない。
普通２０分ぐらい横になっているそうだけど、
ボクの場合は脳の深部なので、
様々な断面の画像を撮るため、
時間は倍ぐらいかかる。
部屋にはＦＭラジオが流れていて、
時には話に吹き出しそうになることもあるのだが、
けっして動いちゃイケナイ。
腰痛がある人はこの時間がツライらしい。
クルカチャ、クルカチャ、ギー、ギー、クルカチャ、ガガガガガ…大きな音。
けれど、いつしか、こんな音に囲まれた中でも眠れるようになってしまった。
「長かったでしょう？」
「眠ってました」
そんな感じ。

夜勤の看護婦さんが言ってくれた。
「痰はまだ出ているけど、順調に回復してるよね。
どうかな、まだ喉の穴ふさがっていないけど、
クリスマスまでに脱出するように頑張ろう！」
一緒に立てたクリスマス脱出計画。
とても嬉しかった。
頑張ろうと思った。

実際には、翌年の春まで住んでいたけども…